"今"も過去からの結果である

先日、美容師時代の後輩に会ってきました。

目的は次の仲間（従業員）として雇い入れるため。

 

彼は今も同じ美容室に勤めていて今や勤続8年。

がしかし、見事に燻っているんですね。

自己責任と言いたいところですが、お店の責任でもあるかな。

 

彼が勤めているお店は基本的にスタイリストの集客を手伝いませんし、

技術向上のためのサポートも積極的にはしません。

上手くなりたきゃ己で努力しろ。売り上げや給料を上げたきゃ己で勝ち取れ！

の根性論スタイル。

その環境じゃ確かに厳しい...。

 

それに加えて本人にその肝心の根性がないから更に始末が悪い。

歴8年なのに未だ美容師免許すら取得していないんだと。聞くと専門学校6年生らしい。

＃聞いたことねーぞ

 

店ガチャに外れたことを嘆いてもいいけど、そんなことしても何も始まらないし、

選択肢は無数にあったわけだから、結局は100％自己責任なんですよね。

誰も同情なんかしてくれません。

 

でもね...

せっかく美容師の道に進んだのに、燻り続けて一生報われないなんてウソじゃないですか。

少なくともいいヤツなんですよ。彼。

頭は悪いけど優しくてほんとにいいヤツなんです。

いいヤツは報われるべきなんです。

 

まぁ余計な世話と言われればそれまでで、本当に100％老婆心なんですけど、

引っ張り上げてやりたいんですよね。

同じ店で努めたよしみで。

多分背中を押すとかじゃダメなんです彼は。

引っ張り上げてやらないと確実に埋もれていくんです。

 

そんなこんなで彼に伝えました。

今の店で結果を出すのは厳しいこと、

そもそも口下手な君が女性を相手にするべきではないこと（本人もメンズカットが得意）。

バーバープレイス（当店）に来れば初月から今の手取りを上回る給料（社保付き）を保証するし、

売り上げればその7割は還元すること。

新規客にも毎月数十人入れるし、休日は自由に決めていいことなどを伝えて、

乗るか反るか１週間考えさせました。

 

...そして１週間後。

彼はうちのスカウトを断ったんですね。

断るのであれば仕方ない。無理やり連れて行くわけにもいかないし...。

ただ...なんで断るかね。ほんとにバカだな。残念を通り越して悲しいっす。

なぜならその瞬間に彼のウダツの上がらない美容師人生の幕が"下りない"ことが確定したからです。

岐路だったんですよ確実に。

 

だってそもそもね。

コチラとしても彼のこと、欲しいわけじゃないんですよ。

欲しい人材じゃないんですはっきり言って。

だって採用担当者の気持ちになってみなさいよ。

高校卒業から8年間同じ美容室でなんの成長もしていない、売り上げも全く上げていない。

怠惰なあまり免許も取れていない。スキルを磨く向上心もない。

...そんな人間、欲しいですか？

 

真っ先に採用候補から落とされるタイプです。

そんなヤツ雇ってしまったが故にお店が経営危機に陥ることなんてザラにあるんです。

採用で大事なことは良いコを取ることではないんです。

ダメなコを取らないことなんです。そっちの方が1000倍大事なんです。

＃怒ってないです

 

彼に尋ねました。

「これからどうするの？

沖に出ようとしている船ではなく、沈みかけている船に残るのか？」

彼は答えました。

「僕がまた浮上させてみせます！」

「8年間も指をくわえて沈没する様子を見てきた君がどうやって？」

「これから考えます！」

「何の方策も無しにそれは無理だと思うよ？」

「いえ、最近やる気出てきてるんで！」

 

...その言葉を誰が信じる？

沈んでいく船を横目に沖に出るこっちの身にもなれよ。

 

よく若者には無限の可能性があるといいます。もちろん僕もそれを支持したい。

だけどそれはせいぜい20歳、遅くとも25歳くらいまでの話なんですよ。

彼は26歳。いくらこれから結果を出しますと息巻いても、もう結果は出てるんです。

本人が気づいていないだけで。

仮に彼が今から結果を出すような人間であれば、

26歳の今既に何らかの結果（兆候）が出ているはずなんです。

これまでの蓄積の結果がね。

全ての人に該当するんだけど、

今日の自分はいい意味でも悪い意味でも、これまでの何らかの蓄積の結果なんだから。

 

もし彼が30歳ならもう誰も雇いません。

最後のチャンスだったんですよ。

もうわかってるんです。彼は報われないことが。

それが不憫でならないし、自業自得と片付けるほど僕はまだ大人になりきれていないみたいです。

僕にもっと信用や統率力の類いがあれば、こばれ落ちていく人を救うことができるのに。

不甲斐ないです。もっと強くならなければ...。

 

人生は連続した一瞬一瞬の繰り返しなわけで、結果なんて一足跳びに出せるものじゃない。

泥臭い日々の積み重ねが為せる技なんだよ。

それを分かって欲しかったな。

 

今の自分も過去からの結果であるっていう、耳を塞ぎたくなるほど残酷な真実をね。