永遠のヒーロー
2026/03/31
今月、僕の散髪の師匠である中山先生が亡くなられた。57歳という若さだ。
突然の知らせで信じられず、どこか半信半疑で仮通夜の斎場に駆けつけると、確かに先生は不似合いな御棺の中で眠っていた。
何故こうなった…?
全てのことに因果を求めるのは不謹慎でナンセンスなのかもしれないが、さすがに先生の死には説明が必要だ…。
うちの店員達と共にアイロンパーマを先生に習うべく、連絡を取ろうとしていた矢先のことだった。
もっとはやく連絡を取っていれば…。
いや、でもその言い分は自分本位の後悔でしかない。たとえもっと早く連絡を取っていたとしても、先生が亡くなることに変わりはなく、重要なのは一体何が先生の命を削りに削ったのかということだ…。
豪胆で粗暴な性格の人だった。
理容の仕事にプライドを持っていて、僕が誤って「とこや」って言ってしまった日にはグーで殴られたっけ。
でも意外と人情味もあって、営業終了後遅くまで練習した帰りなんかには、おもむろに財布からくしゃくしゃの千円札を取り出し、「これでなんか食うとけ」と渡してくれたりした。
貧乏だった当時の僕には死ぬほど嬉しく、泣きながら帰路についたことを覚えている。
多くの矛盾を孕んだその個性は、さながら小説の主人公のようで、そんな"人間味"という名の魅力を纏った先生に一生ついて行くつもりだった。
いずれにせよ、僕のような小僧にしてみれば雲の上の人で、技術などはもぅピカイチ。
未だに先生ほど多岐に渡り、技術を追求してきた人を見たことがない。
刈り上げの技術などは一生追いつけないだろう。
そんな先生から技術を学んだ僕だ。
そりゃスジが良いに決まっている。笑
先生は良く言っていた。
「技術だけは誰にも奪われない」。
先生の肉体は消えたが、技術は僕が継承し、僕の中にあり続け、そして何者にも奪えない。
地位や財産を全て失ったとしてもだ。
このことが、今は何故か奇跡のように思える。
僕はこの技術で、一生食っていくことができる。
いやそれどころか、当店の店員達にもこの技術はすでに継承されていて、今後も数えきれないほどの技術者を生み続けるだろう。
彼らは多くの人の髪の悩みを解消し、多くの人の心を癒し続ける...。
先生は波乱万丈の生涯を駆け抜けた。
先生に振り回された人は数知れず、正直多くの人に憎まれていただろう。
でもそんなことは関係ない。
永遠に僕のヒーローなのだ。
僕はこれから、バーバーで日本一になるまで突き進む。
僕と言う存在が、先生の全てを肯定する。
先生は正しかったことを、僕が証明する。
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FUKUOKA BARBER PLACE
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