理美容は一生の仕事です
BARBER PLACE店主の中塚です。当店は筑前町の『BARBER PLACE』、小郡市の『FRESHNESS BARBER shop』の2店舗を運営しています。 当店の事業内容を一言で言えば、「理美容師を育てて世に送り出す!」です。 あとで述べますが、私は何気なくこの理容という仕事を始めて、とりあえずコツコツと技術と知識を積み重ねていくうちに気付いてしまったのです... 理美容という仕事の素晴らしさに。 いや、これは単なる気概の話ではなく、ビジネスモデルや将来性も踏まえた上で、ライフワークとして最高だという意味です。 今ではなるべく多くの未来ある若者に、この仕事を天職にするという"機会"を提供するために仕事をしています。 是非私たちの仲間になりませんか。少し長くなりますがこの先を読んでみて、わずかでも気持ちが昂ったあなたはきっと向いているはずです。
未経験でもこの仕事をした方がいい理由
当店は未経験からでも理美容の仕事を始めることを推奨しています。というのも、理美容業を始める人の大半は学生時代に進路を定め、高校を卒業したのちに理容学校または美容学校に入学しますが、それだと自らの意思で理美容師になると決めた若者しか、この仕事をしないことになってしまいます。私はそれが非常にもったいないことだと思っています。なぜなら、誰しもが自らの人生を振り返ってみて分かるように、自分の意思で決めたことと現在重要なこと、あるいは大切なものは、必ずしも一致しないからです。偶然の出会いに身を委ねることが、前半の人生においてはとても重要で貴重なことなのです。職業などは特にその傾向が強い。そういった理由で、当店は未経験者でも受け入れる姿勢を貫きます。理美容を生業にするという素晴らしい選択肢に気付いていただく...いや、その選択肢(機会)を提供するために私たちは仕事をしているのです。現在働いてくれているスタッフも全員未経験からのスタートです。理美容師の免許は国家資格であり、取得するには当然費用がかかりますが、当店はその全額を負担し挑戦しやすい環境づくりにも努めています。とはいえ、時間というコストはそれなりに投資しなければならないのは言うまでもありません。それでも、未経験から始めることを当店が強く推奨する理由がいくつかありますので説明させていただきます。
①定年がない
まず、理美容という仕事には定年がありません。人生100年時代には如何に貯金をしておくかよりも、"如何に長く働けるか"が最大の保障になります。巷には80代でも現役でお仕事されている理美容師の大先輩もたくさんいらっしゃいます。となると、仮に30歳から始めたとしても、50年この仕事ができる計算になりますから、始めるのに遅いなどということは全くないのです。
②自由な働き方
それでいて理美容という仕事は、基本的にたった1人で行うことができます。一般的に世の中の仕事の多くは、他社との連携や組織として遂行するものです。いわばサプライチェーンの中に組み込まれていて、業界の大きな構造の中で価格決定権もなければ販路を広げることもままなりません。
しかし理美容は違います。極端に言ってしまえば、椅子と鏡さえあれば仕事はできますし、業界や取引先とのしがらみもありません。提供するのは技術なので、仕入れもほとんどありません。長時間労働&低賃金のイメージがあるかもしれませんが、それは全時代的な価値観です。しっかりした技術を身につければ、客単価を高く設定できます。そして完全予約制にすることで、お客様の方がこちらに合わせてくれます。これによって高収益にも関わらず週休3日を実現している理美容師さんも大勢いらっしゃいます。
③無くならない
理美容のアドバンテージは働き方だけではありません。
想像していただければわかると思いますが、AIやロボットなどテクノロジーの進化によって置き換えられる仕事...ではなさそうですよね。もちろんオンラインも遠隔操作もお呼びじゃありません。
テクノロジーが介入できない、商圏も広がらないので寡占も起こらない。それどころか最大の差別化要因である"人"が商品であり、究極のカスタマイズを提供できる...これほどの優位性を持った仕事は滅多にありません。
理美容という仕事は、人間の手によってのみ成り立つオーダーメイドの仕事なのです。
④安定している
そして数ある理美容の職業的強みの中で最も特筆すべきなのが、「髪は伸びる」という当たり前の事実です。
これは全ての人に定期的な需要が必ずあることを意味します。需要と一口に言っても、例えばお洒落をするとか気分を変えるといった"贅沢品"としての需要、会社や学校の規則を守ったり誰かに対して姿勢を示すための"義務"としての需要、そして生活衛生上やむおえない"支出"としての需要など、これほど様々な"意味を持つ商品"は他にありません。
あのコロナ禍でさえ、理美容業界はそれほど影響を受けていないのです。髪は伸びるので放っておくわけにはいきません。不景気やパンデミックでさえも、理美容業はものともしないのです。
しかもお客様は繰り返しリピートしてくれるので、収益も安定します。巷ではサブスク(月額課金)ビジネスで売上の安定化に躍起ですが、理美容業は元から、月額課金制のようなものなのです。
しかも、髪を切るというサービスは日本国籍を有した上で国家資格を取得した者にしか許されていません。これは世界的に見ると非常に稀なケースです。日本で外資系の美容室や、外国人美容師を見かけないのはこの制度に守られているからで、言わば最大の参入障壁なのです。
いかがですか....定年がなく、働き方も自由、仕入れがないので粗利も高い、AIもロボットもその他テクノロジーも寄せ付けない、店舗ごとのマーケットが狭く属人性が高いため寡占も起こらなければ大企業も参入しない、おまけに国家試験という鉄壁のおかげで外国人(外資)も攻め入れない。商品は理美容師であるあなた自身。提供するのは究極のオーダーメイド。お客様はあなた目掛けて一生リピートし続けてくれる。
こんなに無敵な仕事が他にありますか?
理容の仕事は誰でも目指せる
ここまではあえて"理美容"としての利点を説明してきましたが、理容と美容は従来違う職業とされています。そして私が大いに可能性を感じ、未経験からでも胸を張って推奨しているのは、理容の方なのです。
そもそもなぜ同じ髪を切る仕事なのに、双方は違う職業として分けられているのかというと、業界を司る法律が戦後間もない頃に作られたからなのです。
当時は女性に参政権もなかったような時代です。男性が女性と同じヘアサロンで散髪をするなどあり得なかったのです。その名残で未だに理容と美容は職業的に分かれているのですが、時代を下るにしたがってだんだんと境目は無くなってきています。
ですからここで言う理容と美容の違いについては男性客相手が理容、女性客相手が美容と捉えていただいて差しつかいありません。
さて、この理容という仕事、一般平均より高い収入を得ることができるのにも関わらず、誰でも目指せる絶妙な位置にある職業だと私は考えます。どういうことか説明します。
例えば一般的に官僚や医者、パイロットやプロ野球選手など高所得とされる職業は誰もが憧れますが、ほとんどの人がなれません。逆にいうと、その"希少性"が故に高所得なのです。一方でアルバイトや単純労働は誰でもできるから低所得ということになっています。
では日本人の所得の中央値である年収約400万円の仕事はどうでしょうか。例えば自動車のセールスマン、例えば市役所職員、例えば製造業や建設業の職人さん...。誰でもなれるわけではないので希少性はそこそこあるのですが、所得が平均以上に跳ね上がることはほとんどありません。つまり職業の"希少性"と"所得"というのは比例関係にあり、如何ともし難い法則のようなものなのです。
しかし、理容の仕事は違います...。
国家試験をパスしなければならないため、誰でもなれる職業ではないように思われがちですが、そんなことはありません。理容の価値を貶めるようですが事実なので申し上げると、理容師の国家試験の難易度ははっきり言って自動車の普通免許を取得する難易度とさほど変わりません。つまり誰でもなれるということです。しかし先程の法則に従えば、誰でもなれる職業は所得が下がるはずでしたね。ところが理容に限ってはその法則が当てはまらないのです。
というのも、理容師は理容の免許を取得した者でないとできませんから、理容学生の数以上にプレイヤーが増えることがないのです。つまり過去の学生数を計れば将来のプレイヤーの数(競合の数)は見当がつくのです。
そして結論、理容師(理容店)の数は今後増えません。いや、むしろこれから長期に渡って激減していくのです。これほどのチャンスはありません。需要に対して供給が足りないとなると、当然理容師一人当たりの所得は上がります。誰でもなれるのにも関わらず高所得を目指せる非常に稀有な職業なのです。
悪いことは言いません。なった方がいいのです。
当店のコンセプト
当店は事業としてスケールアップを目指すわけですが、それは単に店舗展開が目的ではありません。店舗を展開していくと言っても、人の存在無しには不可能ですから。お店はお金があれば作れますが、人はお金があっても作れません。理美容業に限らず、人がいてこそ商売やサービスが成り立つわけで、そこに対する尊重はあって然るべきと考えています。つまりスタッフの人間的な成長や自己実現が当店の目的であって、その結果がスケールアップや店舗展開でなければならないのです。
事業のコンセプトを、お客様にフォーカスせずにスタッフの成長や自立に向けているのが当店の特徴であり、それだけ聞くと不適切甚だしいところですが、これには私なりの信じてやまぬ論理があります...。
例えば1人の理美容師が、お客様に対して最高のパフォーマンスと特別な体験を提供できたとします。それはそれは素晴らしいことですし、理美容師としても望外の喜びであるはずです。しかしある意味、与えた影響力としてはお客様の一生のうちのほんの0.1%を過ごすサロン体験と、少しの気分転換への貢献...その程度なのかもしれません。お客様は自宅に帰り、もしかしたらいつものように夫婦喧嘩を始めるかもしれないし、仕事ではストレスを抱え、将来への不安はやはり拭えないかもしれない。その意味では、お客様一人一人とって理美容師一人一人の存在や影響力は極めて小さく、必要不可欠なものではないのかもしれません...。
しかし少し視点を変えてみて、理美容師本人や本人の身近な人たちに対する影響力はどうでしょうか。仕事を通して得られる人間的な成長や経済的な自立は取るに足らないものでしょうか。本人や身近な人たちを救いはしないでしょうか。
例えばひとりの理美容師は、家族のことを以前よりも気にかける余裕が生まれるかもしれないし、またひとりは他人に優しく接するよう心がけるかもしれない。本人が父親であれば、そんな父の姿勢を見て育つ子供がまた、将来誰かの役に立とうとするかもしれない。もちろんお客様に対しても真心を持って接し、長くいい関係を築くことでしょう。
スタッフが満たされてさえいれば、その先にいるお客様も満たすことができるはずです。そういった理由で、当店はスタッフの成長や自立に焦点を当てています。それが結果的に、一番お客様のためになるからです。
ヘアサロンは"人"が全てです。働く"人"を中心として、周囲に良い影響が波及していく、それがお店の存在意義であり、本当の価値だと思っています。
共助の時代の理美容師のあり方
当店の店舗運営のスタイルは独立型です。自己完結できる仕事の特色をいかしてワンオペレーションでお客様に対応することを基本とします。
それぞれの家族や大切な人を守るための精神的な自立を促すのがその狙いです。しかし個々が完全に独立するのでは意味がありません。
というのも、この仕事を生業とする上での最大のリスクに対応できなくなるからです。先程はこの仕事の良い面にばかりフォーカスしましたが、最大のデメリットがあります。それはやはり、社会的な保証が乏しいということになります。
私はそこをなんとかしたい。....考えた末に出たのは、やはり私たちは助け合って生きていくしかないというシンプルな結論です。
私たちは自分が思っている以上に、1人では何もできません。人は生まれた瞬間から他人の助けがないと生きていけないし、助ける側もまたそれを拠り所としなければ生きていけない、そんな社会的な存在なのです。
であればヘアサロンも、一人ひとりは独立していてもいざとなれば皆で寄ってたかって助け合う。そんな価値観と文化を持ったチームを作れたら、この先どんな混沌とした時代が来ようとも怖くありません。そんなセーフティネットとしての店舗展開が私の使命ではないかと思うのです。是非、輪に加わりませんか?あなたの力を貸してください。
私などはこれまで本当に多くの人に迷惑をかけながら生きてきました。たくさん失望させたし、たくさん裏切ってきました。でも同時にたくさん助けてもらった実感があります。たくさん信じてもらっていたことに気づきました。誰かの助けがないと本当に何もせきませんでした。
だから今度は、私が迷惑をかけられる番だと思っています。それによって若い世代が成長し、また将来誰かを助けてくれるのであればこれ以上の喜びはありません。